2009/04/29

エンゲージメント・サーベイ

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今まで述べたように、給与が役割に応じた金銭的報酬だとしても、その中にいかに「社会人モデル」や「自己実現モデル」で動く人たちの「気持ち」をとりこむかももうひとつの課題であることは確かです。これが「経済人モデル」の中にうまくビルトイン(内包)されていないとどうなるでしょうか。人はその職場で働くことを楽しいと思わなくなり、思いやりのない冷たい職場だと感じ、あげくのはては職場を去り他の青い鳥を探す人が続出することになります。そうなれば「役割」を充足する人がいなくなり職場と企業が成り立たなくなる恐れがあるとさえいえます。これは、仕事や会社に対し、所属するメンバーとして歯車がかみあう結婚のようなエンゲージメント状態が破棄されることを意味します。これは現実的な企業リスクの一場面でありbusiness contingency managementからも重要な問題なのです。

エンゲージメント・サーベイの意味

そこで、このような側面からその企業の現状を診断する方法が、エンゲージメント・サーベイ(Engagement Survey)です。これにはさまざまな手法があります。ここで注意すべきは、これは単なる従業員満足度調査ではないということです。たとえばヒューイット(Hewitt)社の行う調査では、3S(Stay,Say,Serve)の要素を測定しますが、そこではいかに従業員が自社のことを人に(よく)言うか、いつまで勤続したいと思うか、忠実な帰属意識つまりロイヤリティがあるかなどを50個以上の項目にわたり質問して、その回答を分析して、点数化するものです。

これは従業員の意識において職場の価値が高いと思われているかどうか、つまり「社会人モデル」や「自己実現モデル」で動く人たちの「気持ち」をとりこんでいるかが問われているものです。この点数が低い場合、たとえば自社のことを自社従業員が良いと他社の人やこれから入社する人にいえないということを意味しますから、ことは重大で採用政策にも関わる大きな問題になるがあります。また今従業員であっても何年後かに当社を見限って離職したいと思っている割合が高いのであれば、企業目的達成の障害になりかねないのです。

エンゲージメント・サーベイの結果について

エンゲージメント・サーベイの点数が低い場合、その原因が、インセンティブ(働く意欲の動機付け)がきちんと体系的に人事制度(給与報酬体系)に組み込まれていないことにあるとされることが多くあります。特にその制度の不透明性にあることが多いのです。たとえば、従業員にとって、どう努力すればどうなるのかが人事制度の中に見える形になっていないと人は安心して意欲を持って働けないのです。このことが単なる仮説なのか真理なのかは、ひとつの研究課題ではありますが、ヒューイット社の結果ではFortune 500社における実証をへているとされているのです。

人事制度とエンゲージメント・サーベイとの関係について

制度の透明性は、制度の合理性を担保することになります。仮に制度自体が妥当性を欠くもので欠陥があったとしても透明性があればその制度自体を従業員が議論できるばかりか実際に制度を担う中堅管理層が自分たちの役割を再点検する機会を常に与え続けることとなります。そのことで、制度の精度と納得性をさらに高める結果となります。そのためにこそ人事制度はきちんと役割と貢献度合を組織体系に結合させて記述しておき、組織全員の暗黙知におわらせないことが大切なのです。つまり、それが形式知になっていないとエンゲージメント・サーベイの実施や存在についてさえ従業員の評価を得ることができないことになるのです。


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