2009/05/26

戦略人事と人事部の役割

87-12023787969mix戦略人事の視点からみた「人事部の役割」とは何でしょうか

いわゆる「戦略人事の視点」からみた人事部の役割は,どのようなものになるのでしょうか

。伝統的な人事部の役割とどう違うのでしょうか。

あるグローバル(外資)企業のトップはこのように語りました。

「今までは,人事は人事でした。しかし,これからは違います。人事は戦略の一部です。会社の経営目標を達成するのは人だからです。人事の役割は『経営戦略の達成に,いかに人の面で貢献できるか』の1点にあります。それなのに,会社全体の経営戦略や財務目標値という基本軸を人事部長がよく知らなくて,どのように人事を組み立てるのでしょう?そのような人に当社の人事を任せることはできません。」と。

トップがこのように従来型人事責任者に対して要望しているので、人事は会社の事業戦略に深く関与するべき使命があることが暗示されています。

さらに、トップは語り続けます。
さらに、人事部の役割について、言及しました。それはどのような内容だったのでしょうか。

「ビジネスをよく知り,経営戦略実現に役立つように人をトレーニングし,採用し,人事制度を作り,変革をリードするライン・マネジャーを育成する,その答えを出し,その説明ができることこそ人事部の役割なのです。」

「人事部に10年いても,それだけで価値があるのではありません。」

ここに言及された事柄は,戦略人事の視点が人事部に何を求めるのかを,シンプルに分かりやすく表現しています。

従来型の人事部とはどこが違うのでしょうか。

人事の中立性とか公正さ,専門性などには言及(げんきゅう)されていないことに注意するべきでしょう。もちろん、従来型の人事配置、異動や人材教育・訓練、採用やペイロール(給与支払、社会保険などいわゆる「労務」にかかわることも、たいへん重要なことですが、これらの,伝統的に人事部に求められるとされてきた価値は,その役割実行に必要な機能的な要素あるいは「ベスト・プラクティス」であって,人事部の役割・機能そのものではない、と喝破したところに衝撃的なまでの現代的意義があります。

ベストプラクティスとベンチマーキング(Best practice & Bench marking)

ここで、ベストプラクティスとは、最も効果的かつ効率的な手法あるいは最優等の事例のことをいうのが一般的用法です。業務のルーティンを効率よく適正に推進するノウハウや業務推進のやり方を言います。人事実務においても、最低限のランニングコストで労務コンプライアンス上も問題なく多様な計算実務や報告実務をこなさなければならない人事部にとって、これは非常に重要視される部分です。

他方、ベンチマーキングとは、自社をその状態に近づけるべき、あるべき最高水準の状態として他社を比較・分析するときのモデルのこともベストプラクティスということもあります。人事部で、同業他社の給与水準やペイラインを調査したりする作業も、このベンチマーキングにおけるベストプラクティスモデルのチェックといえます。

このように、人事部に期待される機能は、人事サービスのベストプラクティスといえますが、それは会社の各部の分業として、経理部や他の部にも同じように求められることです。とくに人事部の果たすべきより重要な役割つまり企業価値向上への貢献度としては、むしろ事業戦略実行のために人の面からの現実的なサポートをすることこそが、とくに強調されているのです。


この記事に関するコメントを行う

お名前
メールアドレス
ウェブサイト
コメント:

企業人事に関する情報交換・質問&回答掲示板

人事マネジメントフォーラム情報交換・質問&回答掲示板
「人事マネジメントフォーラム」では、企業人事のプロフェッショナルの方々の情報交換と交流の場として、「情報交換・質問&回答掲示板」をご用意しております。
人事マネジメントフォーラム情報交換・質問&回答掲示板

スポンサード リンク

HR倶楽部

HR倶楽部

HR倶楽部
HR倶楽部は、外資系企業、人事プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティです。会員制サイト(SNS)として、会員だけが閲覧や書き込みをすることができます。

Go Top