2009/06/06

組織図のオーナーシップ

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 組織図のオーナーシップとは、組織図の作成とその実行責任を負うことをいいます。そして、それは組織図を策定した人にあります。つまり経営陣(取締役会)です。人事部や経営企画部ではありません。組織の戦略目標をたて、それに応じた組織を作り、実行するのは、会社の執行責任そのものだからです。

 従って、現在の組織(図)が、目標に合致していないことが判明したとか、つまり組織の機能と戦略達成目標との間で軸がずれて上手くアラインメントが組めないというようなときは、組織図を変えなくてはなりませんが、それをするのも経営陣(取締役会)の役割ですね。

 組織図と役割の関係

 実際は、経営陣によって策定された組織図に対しては、経営陣の決めた事業戦略との関係性に応じて各部の権限が決まってきます。また、それに従い、予算年度に応じた各部の行動計画・アクションプランが決まります。予算を上から下ろしてくるか、下から積み上げるかという問題はありますが、それはどちらの方法がより目標の実現可能性が高いかという予算策定の手法の問題です。 

 そして,それら(権限と行動計画)が決まることで、それが基本的な組織見取り図となり、1年後の実績判定時におおいに役立つことになります。 なぜなら、それらが各部のパフォーマンス(業績)を計るときの基準になるからです

役割の重さは、どの部署も同じではないという事実。

 そして、営業部と人事部とで、役割の重さの違いがあるとしたら、それがどの程度なのかを決めるのも、もちろん、経営陣(取締役会)です。それが、最終的には給与・報酬の枠組みにつながっていきます。

 「役割」とは何でしょうか。

 このように、経営戦略とそれを実現する組織・人の双方を結合する核心となる概念が、「役割」というコンセプトです。「役割」によって,常に経営戦略とのロジカルな関係性が説明されるのです。営業部や経理部や総務部や人事部の果たすべき役割、事業戦略遂行にあたって期待される役割、それをまず、キチンと書き出すところから、役割分析が始まります。

 割分析をすることの実益とは何でしょうか。

 こうした役割分析の手法は,戦略人事の要諦(ようてい)だといってよいのです。この分析手法を採ることによって初めて,戦略実現のための人的資源上のMECE[注2]が保証されるからです。この分析の段階で,「結局、その部署の存在意義はどういうことなのか」「なぜそのようなことが言えるのか」「具体的にはその組織があることでどう戦略目標達成に貢献するということになるのか」が,きちんと説明,検証,確認する作業がなされることになります。それが個々の組織のfunctional capacityをデザイン(定義)するということです。

 役割意識をもつことがコミットメントになるのです

 その点についての基本的理解が、CEO(最高経営責任者),CFO(最高財務責任者),HRD(人事部長),そして営業部門など現場の部門長で「共有」されている状態が戦略人事の土台となります。それが共有されていない場合は,戦略志向の組織とはいえません。なぜなら、予算などの目標不達成など問題が起きたときの原因分析ができないことになってしまうのです

 逆にいえば、そのような役割意識の共有がなされていない組織では、問題がおきた場合に無用の責任逃れや不祥事がおきる可能性さえあるのです。つまりそれはガバナンスの問題でもあるのです。経営モデルとしての戦略人事志向は、実はコンプライアンス経営志向でもあるのです。この点はとくに注意を払う必要があります。

 [注2]MECEとは,Mutually Exclusiveand Collectively Exhaustive,つまり,全体を重複と漏れのないものにすることをいいます。


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