2009/04/29

リーダーシップと組織の病理

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組織の病理現象の中でも、パーソナリティの問題性の本質は、組織の中で明確にリーダーシップが具備されていることを求められる経営陣・社長がそれを具備していなかった場合におきます。

それは本人が気がついていたとしても修正することができず(場合によっては修正を放棄し)他人を傷つける暴力性さえあるのです。 (「パワーハラスメント」の項参照)

ここで、リーダーシップとは、その組織の目的達成のために組織構成員である他のメンバーをリードすることをいい、言い換えれば部下や同僚のモチベーションに影響を与えて組織の目標を達成しようとする試みをいいます。 いわばリーダーのリーダーシップ欠如が著しく他人を傷つけてしまうに至る場合です。

トップマネジメントの病理現象

たとえば、トップマネジメントが、みずからコンプライアンス違反を知りながらそれを主導して部下に実行させていた場合は、どうでしょうか?トップマネジメントの犯罪の場合です。

また、取締役会メンバーに精神的問題を抱えた者がいるとき、あるいは、コミュニケーション能力が著しく低下ないし特殊なパフォーマンスを示すとき はどうでしょうか。

そのような人間が組織リーダーの立場や権限を手に入れたとき(ないしその立場にたったとき)形式的な高い立場や強い権限があるがゆえに、リーダーシップのなさと被害の大きさが浮き彫りになる結果、他の者(同僚および部下)は、モチベーションを決定的になくしてしまうことがあります。

その結果、組織の生産性が全く低下するばかりか、そのいわば精神的肉体的被害がゆえに、組織が破壊されてしまうのです。ある者は離職し、残っても離反し、指揮命令関係や指導育成関係は成り立たなくなる場合さえあります。

トップの暴走を押さえる手段

そのような場合の予防手段は、そもそも経営陣のメンバーを選任する場合の慎重さ以外にありません。なぜなら、いったん選任されると、解任は通常の法的手段では困難で(実際は任期満了時に再任しないという穏便な手段がとられることが多いのです。)任期の間は自浄作用が機能せず、問題の深刻化を招くことが多いといえます。

株式会社の場合、公開会社であればこのようなことは稀でしょうが、非公開会社で一人会社ないし親会社の一方的ガバナンスの元にある子会社などでは、100%の権限をもつ一人株主や親会社が自分で選任した経営陣の問題性を自分で認めて経営陣の構成を変更することは自らの過ちを認めることになるがゆえに、抜本的問題解決である解任などの手続に動こうとしないこともあります。それがゆえに、自浄作用は働かず、修正がきかずに被害が拡大するということは、こうした特殊な環境下では実際起こりうる病理現象です。

伝家の宝刀「金商法193条の3」は春日電機を救えるか?

これに対するContingency Planないしrescue plan救済策は果たしてあるのでしょうか?これは取締役会のメンバーの交代以外に解決の方法はないといえます。病理現象はその部分の修正がきかないのだから、組織の病理部分の「摘出」が唯一効果的な解決手段なのです。問題は、この修正する力をもつ株主が、受容性が高く逃避的であり、かつ、保全性が高く従属的であるときには、摘出というピンポイントの解決手段があることがわかっていてもその個性がネガティブに現れる結果、行動をおこすことができないことがあります。この場合は「組織の失敗」となるのです。

しかし、最近、春日電機事件では、このような場合でもなお、組織の失敗を防ぐ最後の砦として、常勤監査役の権限と勇気ある行動が注目されています。


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